欠陥住宅や手抜き工事のクレームが特に多いのは、建築家の顔の見えない建売住宅やハウスメーカーの住宅です。次に多いのが、建築家の顔の見ることのできる設計施工を一括で請け負う、施工会社の建築した住宅です。
建売住宅は、ある程度決まったいくつかのプランで建築されています。そして、ある程度形ができてからしか見せません。
工事現場見学会と称して現場を見せているところもあるようですが、あなたが見て分かることはどのくらいあるでしょうか?「地盤は大丈夫ですか?」「下地はしっかりしていますか?」「風通しは良いですか?」など、住まいの重要ポイントはなかなかチェックできるものではありません。
ハウスメーカーの住宅は、工場である程度まで作られた規格品を使います。工場で品質管理されていますので製品については問題ありませんが、建物自体は現場で組み立てていきます。「組立て方に問題ありませんか?」「現場施工分のさび止めはしっかりしていますか?」「沖縄仕様(塩害対策)になっていますか?」「現場で造る基礎の強度は大丈夫ですか?」「地盤はしっかりしていますか?」など、組み立ての監理は誰がしているのでしょうか?
設計施工の場合はどうでしょう。建築家も、同じ利益を追求する会社の社員です。どうやって「建て主様の代理」になれるのでしょう。会社の利益を先に考えるのは、当たり前のことではないでしょうか。
また、展示会や売り込みは営業の仕事、建築は下請け、あるいは孫請け、そして、完成後はまた別の担当です。このようなことでは、クレームをどこに言ってよいのか分かりません。このような不満や不備が、欠陥住宅を作り出しているのです。
私どもでは、欠陥住宅を作り出さないために、「建て主様の代理」としてこのようなチェックのお手伝いもしております。先にも述べたとおり、営業任せで建築を行い、クレーム担当とクレームの協議をしていても責任の所在がつかめず、結局ウヤムヤになってしまいます。その反面、建築家とは住み始めてから本当のお付き合いが始まるのです。私どもは、そのリスクを負い続けるのです。