建て主様の貴重なご予算を有効に、かつ、最大限に生かすには、どのような住まいづくりがいいのでしょうか?その答えは、設計は設計事務所に依頼し、施工は複数の施工業者から見積りを提出してもらい、設計事務所と相談して施工業者を選定することです。そして、施工監理は必ず依頼しましょう。
私ども設計事務所は、建て主様から委託を受けた「建て主様の代理」であり建築のプロです。建築工事費のからくりは理解していますし、使用材料の数量、単価も熟知しています。そのため、ご予算に合った最高の設計を行うことができます。その場合、施工業者の利益のことなど考える由もありません。したがって、建て主様のご予算を最大限に生かすことができるのです。
しかし、「設計料や監理料がかかって、合計するとかえって高くつくのでは?」と、疑問を感じるのも当たり前のことです。設計施工を一括で行っている建築施工会社の営業マンは、次のような言葉をよく口にします。
設計事務所は自分のデザインのことばかり考え、建て主様のことは聞いてくれませんよ!
設計監理を依頼すると、検査ばかりで結局同じものができても高くつきますよ!
設計事務所なんて建築確認申請をするだけですので、うちでサービスでした方がお得ですよ!
これらは全くのデタラメです。中には、デザイン重視で我が事務所の売名だけを考えているところもありますが、ほとんどの設計事務所は、「立て主様の立場に立って」業務を行っております。検査ばかりで高くつくことはなく、検査があるからこそ良い品質のものができるのです。多くの誤解があるようですが、実は、設計事務所を通して工事発注する方が安くつくのです。
それは、設計監理費は通常10%から15%(ケースによって異なります)、施工業者の一般管理費は15%程度だからです。また、材料はご予算に応じた設計を行っておりますので、ご予算の中で最高のものを使用していると言えます。施工費についても、プロの目から見て、また、建て主様の立場に立って、妥当な価格をご提示することができます。
上記工事費の組み立て構成でも分かるように、一般管理費と設計監理費を合計しても25%から30%となります。これは、設計施工一括工事の施工業者の、建築工事費の組み立て構成と同じです。しかし、設計施工一括工事の場合は、設計図が曖昧なことや建築家がその会社の社員であること、また、第三者の監理も行われないことを考えると、本当に建て主様の希望される品質が保たれているのか甚だ疑問です。
それに比べ設計監理と施工業者を分離した場合には、設計図どおりの施工ができ、品質も第三者の監理によって保たれることとなります。仮に瑕疵があったとしても、設計事務所を介することによってスムーズなアフターフォローを受けることができます。これが、「ご予算を最大限に生かす」手法であると私どもは考えています。